福井大学の整形外科は、守備範囲の広さが第一の特徴だろう。大学病院ならではの医療、すなわち、骨・軟部腫瘍、関節疾患、脊椎・脊髄疾患、リウマチ性疾患、四肢。脊椎外相など医局員は各自、専門領域に属し、高度な診療を行う。その一方、救急外来の外傷や骨折にも適宜対応する。大学病院が北米型ERの救急体制を採っているからだ。北米型ERとは、1次救急から3次救急まですべての救急患者を受け入れる救急体制であり、大学病院としては全国的にも稀な例といえる。
池端幸彦氏が福井県医師会会長に初めて就任したのは、令和元年6月。波乱の幕開けだった。「県民そして会員のための県医師会へのチェンジ」を基本方針とし、活動指針を5本掲げて「さあ、これから!」というとき、同年12月、新型コロナウイルス感染症が世界 を飲み込む。福井県でも令和2年3月に第1例が発生、医療崩壊が危ぶまれるほどの状況に陥ってしまう。会長は3年近く、コロナ対策に明け暮れた。ただ、新興感染 症の災いのなか、見えてくるものあった。
福井市街月見に立つ福井赤十字病院は、市民にとって「いのちを救うところ」を象徴するランドマーク。許可病床534床、標榜診療科25科、職員数1100人の陣容を敷く。その歴史は大正14(1925)年、日本赤十字社福井支部病院として始まり、昭和18(1943)年に福井赤十字病院と改称。令和7(2025)年には創立百周年を迎える。現在、急性期・高度急性期病院である福井赤十字病院が重点的に取り組んでいることは様々あるが3つ挙げたい。脳卒中診療、ロボット手術、がんに対する放射線治療である。
菊田健一郎教授室には、若手のころに執刀した症例の記録、「手術ファイル」が保管されている。「脳動脈瘤」、「脳腫瘍」…と題されたファイルには、手術の手順一つ一つに写真が添えられ、要点が書いてある。ページを追うごとに、上達への一途な思いが伝わってくる――。そうした研鑽を経てきた名手は、「福井大学脳神経外科の本領は手術。特に難易度の高い手術にあります。」と明言する。 診療対象は、脳動脈瘤や脳内出血などの脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷であり、脳動静脈奇形(AVM)、もやもや病、頭蓋底腫瘍といった一般の施設では難しい疾患にも対応する。
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