スギホールディングス株式会社
代表取締役社長杉浦 克典
2024年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や訪日外国人旅行者数の増加などが進み、緩やかに景気回復しております。一方、継続的な物価上昇や為替変動の影響など、先行きが不透明な状況も続いております。
ドラッグストア・調剤薬局業界におきましては、物価高に伴う消費者の節約志向の強まりや薬価・調剤報酬改定、および異業種・同業種間の競争激化など厳しい環境にある中でも、個人消費やインバウンド需要などの伸びを受け、物販領域においてヘルス&ビューティケア関連商品や日用雑貨・食品等の販売が増加し、さらに、高齢化の進展とともに調剤領域において処方せん応需枚数が伸長し、各社の業績は好調に推移してきました。
今後のわが国経済につきましては、さらに、賃金、雇用情勢改善に伴う個人消費の増加や、訪日外国人旅行者数の増加に伴うインバウンド市場の拡大などが見込まれます。一方、世界経済の変化、国内の物価上昇圧力や人手不足の深刻化などにより、先行きの不透明な状況が続くものと見込まれます。
ドラッグストア・調剤薬局業界におきましても、異業種を巻き込んだM&Aや合従連衡に向けた動き、各社の積極的な出店による競争激化により、企業数の淘汰が急速に進んでいき、日本全国で寡占化が進んでいくものと考えています。また、調剤薬局業界についても、年々厳しさを増す「調剤報酬改定」や電子処方せん、オンライン服薬指導など「薬局のDX※化」が進む中、国が掲げる「かかりつけ薬局」と「医療DX」の方針に基づく、対人業務、訪問調剤、DX対応に力を入れていかなければいけません。
※DX (デジタルトランスフォーメーション):デジタル技術を活用して業務の変革を図ること。
スギ薬局グループには、薬剤師、管理栄養士、ビューティアドバイザー、看護師、登録販売者など、多様な専門家人財が揃っています。
中でも薬剤師は4,820名が在籍しています。薬剤師不足が続き、薬剤師の確保が喫緊の課題である中、調剤薬局やドラッグストアのみならず、スーパー、コンビニ、EC事業者などの調剤事業参入も、薬剤師獲得を一層困難なものにしています。そのような中でも着実に薬剤師を採用できていることが、スギ薬局グループの大きな強みです。
ドラッグストア黎明期から一貫して調剤併設型ドラッグストアチェーンの展開に挑戦し、直近では多くの調剤薬局がグループインしながら成長してきた自負もあります。創業から変わらぬ処方せん調剤への取り組みは、地域に、そして患者様一人ひとりと向き合いたいと志す薬学生や現役薬剤師の具体的なビジョンとなり、共感となっていることが、採用を有利に展開できる根幹です。
ドミナント出店戦略で、関東・中部・関西の大都市圏の規模拡大に続き、I&H(阪神調剤グループ)のグループ加入により、スギ薬局グループの出店エリアは関東、中部、関西、北陸・信州から北海道・東北、中国・四国、九州へと広がりました。
2024年度の新規出店は130店舗と業界トップクラスの年間出店数を継続しており、スギ薬局グループ全体で2025年2月末現在の店舗数は2,186店に達しました。また、訪日外国人のニーズにお応えする店舗も積極的に出店しました。生まれてからお亡くなりになるまでのすべての健康ステージで、信頼されるかかりつけ薬局として存在するべく、新規開局を進め、既存店の調剤室および調剤待合室の拡張にも積極果敢に取り組んでいます。薬剤師をはじめ店舗の専門家人財の活躍によって、医療機関を中心とした持続的な地域包括ケアの実現に貢献していきたいと考えています。
デジタルへの取り組みも強化しています。お客様に、より快適で健康的な生活を送っていただくためのスギ薬局アプリによるサービスの提供が、お客様満足度を向上させ、店舗や各種サービスをご利用いただくという好循環につながっています。デジタル戦略をけん引する、ダウンロード数1,370万を超える「スギ薬局アプリ」の機能改善は、お客様の声に向き合いながら継続的に行っています。細分化されたセグメントで個別の情報提供やクーポン配信など、顧客体験やお客様満足度を高め、商品やサービスの提案力を向上させ、一人ひとりのニーズにお応えすることでお客様とのつながりを深めます。店内では、自分のスマホやお買物カートがレジの代わりになり、店外では店舗の品揃え・価格・在庫がわかり、ECサイトから注文が可能になるなど、お客様にとって「いつでも、どこでも、手のひらにスギ薬局」を感じていただける環境の実現を目指します。
また、オンラインでのカウンセリングサービスはもとより、店舗でもビューティ領域や生活習慣改善の提案にデジタル端末を活用し、お客様満足度を高めています。
店舗従業員一人ひとりがいきいきと活躍できる環境が整備されることで、働き方が改善され、対人業務に注力でき、お客様満足につながります。お客様をはじめ、すべてのステークホルダーへの価値の創出を目指し、DXを積極的に推進していきます。
さらに、2025年度よりサプライチェーンマネジメントを強化していきます。店舗の作業を限りなく効率化し、価値ある仕事に集中できる環境構築を目指します。また、調剤事業と海外事業を推進するロジスティクスの再構築を目的とした変革にも取り組みます。ここにDXを掛け合わせることにより、サプライチェーン全体の最適化を推進していきます。
「トータルヘルスケア戦略」、それは、日本社会が抱える少子高齢化への対応、次々と創出され進化するデジタル技術を活用し、健康・医療というキーワードでお客様・患者様がどのような健康状態であっても支援させていただく、スギ薬局グループの取り組みの全体像を表す、基幹となる戦略です。人は一生のうちに、病気やケガ、加齢による変化や、健康を維持するために様々な場面で幾度となく医療や薬に関わりを持ちます。「トータルヘルスケア戦略」は、健康的な生活を継続できるよう予防や未病など「セルフケア」として関わる期間、病気を発症し、急性期や慢性期の治療に向き合う「医療・服薬」期間、そして「介護・生活支援」期間の3つのステージに分け、地域生活者の病気予防・健康管理に生涯にわたって関わり一貫したケアサイクルの中で健康増進の実現を目指すものです。スギ薬局グループの調剤併設型ドラッグストアを中心に、健診センターや介護施設、フィットネスジムなど、リアル店舗と、さらに行政機関とも連携し、DXを駆使したヘルスケアネットワークを構築できればと考えています。そうすることで地域密着でリアルとデジタルをシームレスに活用できるプラットフォームによってどのような健康状態のお客様とも接点を持ち、最適な商品・サービスを、一人ひとりの状態に合わせて提供することができます。
これまでのように、健康への不安や悩みが生じてから医療機関を受診するという対応だけでは、人生100年時代を迎えた超高齢社会を豊かに過ごすことはできません。それぞれのステージで自治体や健康保険組合、医療・介護従事者などの多職種連携によって地域の皆様の健康的な生活を支え続けていくことが必要です。医療を中心に多職種が連携し、地域、高齢者、その家族を支えていくネットワークの構築が急務です。すでに企業、行政からもご賛同いただき、地域でのヘルスケアネットワークが拡大しています。この戦略は海外でも評価され、アジア各国で現地企業と協業し取り組みが進んでいます。引き続き、様々な企業・団体・行政と共にこれまで以上に取り組みのスピードを速め、「トータルヘルスケア戦略」の実現に邁進していきます。
2021年に、サステナビリティ経営を推進するための体制を整備すべく、サステナビリティ委員会、ESG推進室(現:コーポレートブランディング部サステナビリティ推進課)を組織として立ち上げ、5つのテーマと16の重要課題(マテリアリティ)を特定し、取り組みを活発化してきました。
SDGsへの意識の高まりは全世代に及んでいます。環境・人権に配慮された商品を選択する「エシカル消費」行動もその一つです。調達先の人権の問題、サプライチェーン全体で考えるべき課題への対応を社会は厳しい目で見ており、企業の社会的責任を踏まえ、各種取り組みを推進しています。過去には、「スギ薬局グループ人権方針」、「スギ薬局グループお取引先様行動指針」を策定し、サプライチェーンにおいてスギ薬局グループが責任を果たしていく体制整備に着手しました。2024年度は、自社開発商品に関与いただくお取引先様に対して、人権デュー・ディリジェンスを実施し、各社取り組みの分析・評価を開始しました。
資源循環にも力を入れていきます。「国内の資源は国内で回していく」という考え方のもとで、多くの商品を販売しているスギ薬局グループの責任として、少しでも貢献できるように多くの方々と連携していきます。ペットボトルをペットボトルに再生する「ボトルtoボトル 水平リサイクル」の回収拠点店舗を142店舗にまで展開を強化しました。回収拠点店舗では、明らかな来店頻度の向上もあり、お客様にも好評で環境貢献と企業業績の両立が図られた結果も出ています。また、調剤事業を中心に大量に廃棄されるお薬PTPシートのリサイクルに対して、回収拠点としての役割を果たします。
その他、廃棄予定のユニフォームを回収し、店舗設備にアップサイクルする取り組みや、フードバンクと連携することで、食品ロスと貧困問題への対応を進めるなど、一歩一歩社会課題に対峙していきます。社会課題に向き合うことで、地域に貢献し、その延長線上に、地域の皆様に愛される企業としての地位を確立していきます。
スギ薬局グループは、“脱炭素社会の実現”を重要課題に掲げ、取り組みを加速させてきました。温室効果ガスを直接排出するスコープ1、電気の使用に比例するスコープ2の見える化を行い、2030年のCO2排出削減目標(2030年度の1店舗あたりCO2排出量を2014年度比で50%削減する)を設定しました。TCFD提言への賛同表明も行っており、開示要請項目に応じて、サステナビリティ委員会や取締役会で、リスクや機会の特定、CO2排出削減に向けたロードマップの策定など、適切に対応を進めています。具体的な削減策を実行すべく、店舗屋上にオンサイトPPAの運用で太陽光パネルを数十店舗レベルで設置し、順次拡大しています。さらに、2024年度に導入開始したオフサイトコーポレートPPAサービスの範囲を拡大しました。累計65店舗に対し、太陽光発電所による“追加性”(新たな再エネ設備の投資につながる効果)のある再生可能エネルギーを⾧期・安定的に調達いたします。これによるCO2排出量の削減効果は累計年間約8,560t-CO2となり、毎年同規模以上に展開していきます。
一方で、商品の調達から製造、販売、物流、廃棄に至るまで、サプライチェーンすべての活動で排出するCO2排出量であるスコープ3総計は、スコープ1、2の15倍以上となる約240万トンのCO2を排出しています。しかし、スギ薬局グループだけでスコープ3を削減することは困難です。企業間で連携し、ゼロベースでアイデアを出し合いながら実証実験を行い、トライ&エラーを繰り返していく必要があります。過剰な包装を控えたり、植物油インキを使用したりと、CO2排出量の少ない商品を付加価値として、お客様に訴求しながら販売する工夫や努力も必要です。販促物やPOPの無駄を省くことはもちろん、販売個数予測の精度を協力して向上し、不必要に仕入れない、返品や廃棄を増やさない、製・配・販の連携も必要になります。
2023年度に加入したチャレンジ・カーボンニュートラル・コンソーシアムでは、スギ薬局アプリを通じた環境教育や、参加企業の環境配慮商品を陳列・訴求・販売する実証実験など、業界の枠を越えたサプライチェーンならではの連携で環境課題に対応すべく、取り組みを加速してまいります。
急速なデジタル化、少子高齢化、人生100年時代、キャリア価値観の変化など、企業を取り巻く環境は大きく変わっています。スギ薬局グループにおいては、社員を資本として捉え、人は成長し価値創造の担い手になるとの信念を持ち、積極的に人財へ投資して企業価値を高めていきます。こうした考え方に基づき、「経営戦略と人財戦略」を連動させ、人事制度改革、適正配置、健康経営、社員エンゲージメントの向上を推進していきます。
また、人権対応の一環として、組織における心理的安全性の向上についての取り組みを強化します。社員の笑顔がお客様の笑顔につながる、“笑顔の連鎖”、それが当社グループの経営理念を実現するうえで重要な考え方です。つまり、店舗社員、パートナー社員の皆さんのやりがいが高まれば、お客様への貢献度や仕事の成果、生産性も向上することにつながります。
やりがいを考えるうえで、心理的安全性というものが重要になります。心理的安全性を高めることで、自分らしく日々を過ごすことができ、言いたいことも言い合える、思い切った挑戦もでき、お客様にも親切丁寧な行動ができるようになる。当社グループには、「職場の悩み・何でも相談ダイヤル」というものがあり、通報件数は年間1500件を超え、日本企業の中でも、通報しやすい企業として、メディアに取り上げられています。また、通報された内容をすぐに調査し、対応できるようエリア人事部を設け、機動力を高めています。また、“一人ひとりに向き合う”をテーマに掲げ、上司への相談のしやすさを高めるよう促し、役員全員が店舗を訪問し、社員の声を聴きに行く取り組みに力を入れています。2025年度も引き続き、心理的安全性を高める取り組みを強化してまいります。
スギ薬局グループのDX戦略の根幹は、生産性向上と顧客生涯価値向上の実現を通じて、お客様と向き合う時間を豊かにすることです。そして、「お客様からのご相談への応対やカウンセリング」など、デジタル化できない、人と人との交わりこそがスギ薬局グループの最大の強みといえます。デジタル技術でいかに新しい価値を提供するか、業務のデジタル化だけでなく、組織や業務プロセス、企業文化まで変革するか、それによってスギ薬局グループの競争力を高め、優位性を確立することに注力していきます。これからは、デジタル化による業務の一部改善だけでなく、DXによる「顧客接点の構築」と「継続的なつながり」を通じた顧客生涯価値の向上がより重要になります。
これを踏まえ、スギ薬局グループのDX戦略として、お客様との接点の広がりと深掘りについて、「いつでも、どこでも、手のひらにスギ薬局」をキャッチフレーズに、スギ薬局アプリの機能拡張・改修を定期的に行っています。病気の予防や健康維持に関する情報の配信やID統合によるお客様情報の一元管理、お客様の購買履歴にあわせたクーポンの配信を行い、お客様にとってストレスのない環境を構築していきます。リアル店舗における接客においてもデジタルコミュニケーションを強化していきます。たとえば、化粧品部門でどのような要望をお聞きしたのか、どのようなサンプルを試したのかを記録する台帳をデジタル化し、スギ薬局アプリでの販促に活用します。また、管理栄養士が受けた相談内容も記録し、今後は、健康の一元管理ができる顧客とのデジタルコミュニケーション台帳をつくりたいと考えています。
「いつでも、どこでも、手のひらにスギ薬局」と「デジタルコミュニケーション」の実現によって、デジタルとリアルの顧客体験がシームレスでつながります。「デジタル」を介した顧客体験は、1,380万ダウンロードのスギ薬局アプリが大きな役割を担います。現在、スギ薬局の店舗に来店されるお客様は年間延べ数で約3.7億人です。今後の課題は、デジタルで誘導した爆発的に生まれるニーズをリアル店舗でどう受け止めるか、ということにかかってきます。デジタルの推進により、一気に爆発的に増加する接客機会を丁寧に拾い上げ、今までの延長線上にある施策とは異なるアプローチで、リアル店舗のサービスを磨いていきます。この難題に対応できた企業こそ、今からを生き抜く会社であると考え、こうした課題に向き合える幸福(しあわせ)を噛み締め、経営幹部一人ひとりが自分事として捉え、立ち向かっていきます。
2024年度は、4月に薬価改定、6月に報酬改定がありました。薬剤師の対人業務の重要性が増していく中、専門性で地域医療に貢献するために、当社グループは薬剤師の教育に力を入れています。また、あらゆるミスを防ぐ仕組みをつくり、オペレーションリスクを下げることは重大な責務だと考え、患者様に安全安心にお薬をお渡しできる社内体制の構築に全力を尽くしていきます。マニュアルを整備し、その通りに仕事ができるよう周知徹底、教育を行います。また、人員体制の整備や、調剤環境の見直し、機器の導入によるチェック体制の強化で、ミスが起きない体制を目指します。また、処方せん枚数の増加に対応できるよう、新規開局を進め、既存店舗では、調剤室や待合室の改装による環境の改善を進めました。当社グループは引き続き、対人業務、在宅調剤、医療DXへの対応を進めることで、かかりつけ薬剤師・薬局を推進していきます。寡占化していない8.2兆円の調剤薬局市場において、水平方向に調剤事業の拡大、垂直方向に製・配・販連携を進めることで、価値創造をしていきます。調剤事業の拡大として、今回のI&H子会社化があります。I&Hは、1976年に阪神調剤薬局として創業し、調剤薬局チェーンの中でも特に長い歴史を持つ企業です。全国、北海道から九州まで数百店舗の調剤薬局を展開し、創業の地である関西エリアでは地域の皆様から大きな信頼を獲得しています。強みは、多くの薬剤師とその専門性、全国薬局店舗網、大学病院など地域の基幹病院の門前薬局、業界屈指の医師ネットワークを有していることです。これらのI&Hが持つ調剤薬局ならではの専門性、病院・クリニックとの関係性を加え、風土改革を進めコンプライアンス遵守体制を強化して、当社グループの医療・調剤戦略をさらに加速させていきます。今後も、さらに戦略的なパートナーシップを推進し、調剤事業を拡大していきます。
2026年12月にスギ薬局グループは創業50周年を迎えます。そのとき、スギ薬局グループはどうあるべきか、未来視点であるべき姿を描き、中期経営計画では、2026年度の売上目標を1兆円と定めています。中期経営計画は成長戦略と経営基盤強化の2つで構成されます。成長戦略として「ヘルスケア領域の深耕」「DX活用による顧客体験の変革」「協働・共創の拡大」の3つの項目を掲げ、それぞれの項目ごとに、今から築き上げていくべき方向性を定めています。また、経営基盤強化も3つの項目からなり「データに基づく経営」「コスト構造の改革」「人財・組織の強化」を、それぞれの組織の戦略に落とし込んでいます。最初の2年でDXや商品開発、出店、海外、人財などの各種戦略を根本から見直し、様々な実験や取り組みが進み、土台が固まりました。2024年度に多くの企業がグループ入りしたことにより、売上高1兆円を前倒しで達成できる確かな手応えを感じています。加えて2025年度は、新たに野心的な中期経営計画の策定も視野に入れ、経営していきます。是非ご期待ください。
成長戦略
ヘルスケア領域の深耕 |
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DX活用による顧客体験の変革 |
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協働・共創の拡大 |
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データに基づく経営 |
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コスト構造の改革 | |
人財・組織の強化 |
※SCM:サプライチェーン・マネジメント
2024年度から、経営企画・財務担当の執行役員を定めたうえで、資本コストや株価を意識した経営を強化しています。資本コストを的確に把握したうえで、外部環境の変化を踏まえた経営戦略や中期経営計画を策定し、その概要を開示しております。策定した経営戦略、中期経営計画については、毎年進捗状況等を確認・分析したうえで、新たな事業投資、出店およびシステム投資、そして人財育成への投資など経営資源の配分計画に基づき対応していきます。新規の大型M&Aや事業投資を伴う資金調達については、株主価値向上を念頭に置いた財務方針に基づいて実施しています。また、当社グループは、株主価値向上に資する「中長期的なROE※1、ROIC※2向上」、「持続的・安定的な株主還元」、「成長のための投資」を展開します。ROE、ROICを持続的な株主価値の創造に関わる重要な指標とし、収益性の向上、総資産回転率等を常に改善し、中長期の継続的なROE、ROIC向上を目指します。
※1 ROE: 自己資本当期純利益率 ※2 ROIC: 投下資本利益率
また、資本コストを的確に把握し、事業ポートフォリオマネジメントや新規出店における投資効率の改善、新たな事業投資など、経営資源の配分を行うための一つの指標としてROIC指標を新たに導入しています。まずはROICを事業別に見える化するなど、体制整備を進めています。現場に対しても、ROIC指標を活用するための仕組みや社内浸透のための取り組みを加速していきます。